後藤

採用した職員の方に長く定着していただくためには、何が大切だと思われますか?
やはり、法人や施設への信頼関係が土台になりますよね。
そして、その信頼関係は、最初の出会いから始まっているのです。

初対面の応募者との信頼関係、どう築きますか?

初めてお会いする応募者の方から信頼していただくためには、どうすればよいのでしょうか?

実は、ここで多くの施設が見落としがちなポイントがあります。
信頼関係を築く上で最も大切なのは、まず私たちから心を開くこと、つまり「自己開示」なのです。

施設のこと、法人のこと、そして働いている皆さんのこと。できる限りオープンにお伝えすることが、信頼への第一歩となります。

面接の「よくある落とし穴」

ところが、初対面の場面でこんなことをしていませんか?

  • いきなり「志望動機を教えてください」と質問から始めてしまう
  • 会ってすぐに「何か質問はありますか?」と応募者に聞いてしまう


「応募者が聞きたいことに答えてあげた方が親切ではないか?」——そんなお気持ちは、とてもよく分かります。

でも実は、初めてお会いしたばかりの応募者の方は、「何を質問すればいいのか」がまだよく分からない状態なのです。

ホームページなどで事前に情報を集めてきてくださっても、いざ目の前に座ると、緊張するし、何から聞いていいか迷ってしまう——これが正直なところではないかと思います。

まずは、こちらから「すべて」お伝えする

信頼関係を築くには、やはり私たちから先に話をすることが大切です。
法人のこと、施設のこと、働く環境のこと、そして皆さん自身のこと…。
「(ベテランだし)こんなこと、分かっているだろう」と思うようなことも含めて、あらゆることをお伝えいただきたいのです。
そうです、「すべて」です。

そして特に大切なのが、応募者の目から見た貴施設の魅力を、しっかりとお伝えすることです。

「ウチは古い施設だから…」と思っていませんか?

例えば、築20年とかの従来型特養の施設長さんから、こんな言葉を聞くことがあります。

「うちは古いし、ユニット型でもないからねぇ…」

お気持ちはよく分かります。でも、ちょっと待ってください。

実は、建物が新しいか古いかは、介護職員の方にとって、それほど重要なポイントではないのです。

むしろ大切なのは、清潔に保たれているか、日々のお掃除が行き届いているかということ。
介護のお仕事をされている方は、そういった環境の細やかな部分を、とてもよく見ていらっしゃいますよね。

仮に新築の施設であっても、もし1週間も掃除をしなければホコリだらけになってしまいますよ。
築年数とは関係ないですよね。

ですから、「ウチの施設は決して新しくはありませんが、毎日丁寧に清掃しています」と胸を張ってお伝えすれば、それで十分だと思うのです。

もしそれでも、「私は築3年未満の施設じゃないと嫌なんです」と言われたら?
その時は「残念ですが、ご縁がなかったということで。さようなら」とお伝えすればよいのです。

価値観の合わない方を無理にお迎えする必要はありませんしね。

例えば、従来型施設の「魅力」を伝えると?

「従来型よりユニット型の方が人気があるのでは?」——そう思われるかもしれませんが、実は従来型施設も根強い人気があるんですよ…(本当です)。

では、質問です。
従来型施設にあって、ユニット型にはない「魅力」は何でしょうか?

はい、従来型施設の大きな特徴は、一緒に働けるスタッフの人数が多いことです。
このことから、こんなメリットが生まれます。↓

  • スタッフ同士、助け合うことができる。
  • 新人職員が困ったら、先輩職員を呼ぶことができる。
  • 新人教育(OJT)もしやすい。
  • プリセプター制度が機能しやすい。
  • ワンオペになりにくい。
  • 夜勤時も休憩(仮眠)取りやすい。
  • 希望休も認められやすい。
  • 有給を取りやすい。
  • (万一辞める場合でも)退職もしやすい。
  • 相性の合わない職員がいても、距離を取りやすい。
  • 相性の合わない利用者の担当を替わってもらうこともしやすい。

いかがでしょうか。こうしてリストアップしてみると、従来型施設には本当にたくさんの魅力があることが分かりますよね。しかも求職者にとって嬉しいメリットばかり!
こうしたメリットを、ぜひ自信を持って、熱意を込めてお伝えいただきたいのです。

もちろん、すべての応募者に響くわけではないかもしれません。
でも、これだけのメリットを聞いて、まったく心が動かない介護職員の方は、むしろ少ないのではないでしょうか。
あなたはどうお考えでしょうか?

「聴くな、語りまくれ!」——最初は情報を惜しみなく

よく「耳は2つ、口は1つ。だから喋るより聴きなさい」と言われますよね。
確かに、その通りだと思います。

でも、その前提として、まず信頼関係を築くことが必要だと思うんです。
どんなに真摯に耳を傾けても、相手が心を開いてくれなければ、本音は聞けませんし。
だからこそ、まずは応募者の心を開くことに全力を注ぐ必要があると考えます。

そして、応募者の心を開くためには、応募者が知りたい情報を、惜しみなく、すべて開示することが大切なんです。

言葉だけでなく、ホームページ、パンフレット、動画、写真——使えるものはすべて総動員して、情報を与えて、与えて、与えまくる。

そうして信頼関係が築けたら、心を開いていただけたら…。

その時初めて、「喋るより聴く」ことが意味を持ってくるのです。

ですから、最初の段階では、とにかく語りましょう。情報をお伝えしましょう。
「聴くな、語りまくれ!」——これが最初の鉄則です。

私も、初対面の方とお会いする時は、もう語りまくりますよ(笑)。
あ、もちろん「最初は」という話ですよ。信頼関係ができたら、今度はしっかりと聴く側に回ります。

施設長の皆さまへ

皆さまも、職員採用の場面で、ぜひ「初対面では語りまくる」というイメージで臨んでみてください。そして求職者にとってのメリットを伝えてあげてください。
きっと、応募者の方との関係が変わってくると思います。

お伝えしたかったこと、届きましたでしょうか。
もしよろしければ、ぜひご感想をお聞かせください。
皆さまからのお声を、心よりお待ちしております。