
「付与できる有給がゼロだったんです…」
ある企業の人事担当者から、長期休職から復帰した社員の有給付与がゼロだった、というご相談がありました。
背景と制度の概要
労基法では、有給休暇の付与には「過去1年間の出勤率が8割以上」が条件です。これに満たないと、翌年の有給付与はゼロ。つまり、1年間1日も有給を使えないことになってしまうのです。
しかし、決してサボっているわけでもなく、私傷病やメンタル不調での療養など、ある意味「不可抗力」とも言える事情で長期休職をした社員に対しても、出勤率8割に満たなければ、問答無用に有給付与0日となってしまうこのルールに、モヤモヤや無慈悲を感じる企業も少なくないのではないでしょうか。
私たちの視点と提案
確かに法律では出勤率8割を切れば有給付与はゼロです。そして、出勤率算定にあたり私傷病休職期間を欠勤扱いとしても法的には何ら問題はないのです。
しかし、私傷病休職をされるような場合、休職に入る前に有給を使い果たしている方も多いため、次の1年間、一日も有給が使えない状況は、あまりにもかわいそうな気がしてしまいます。何度も言うようですが、サボって8割を切ったわけではないのですから…
そこで、このような状況でも使えるように、勤続年数が長いなど貢献度の高い社員に限って、別途「病気特別休暇」などの特別休暇(有給)を設けることも検討に値すると考えますが、いかがでしょうか。
また、時効消滅した有給を積立てておき、このようなケースに使用できる制度を設けている企業もあります。
まとめ・読者へのひと言
確かに法律を守ることは最低限必要なことですし、大事なことです。しかし、ただ法律を守っていれば、それだけで皆さんの会社で働きたいと思えるでしょうか。
「これがルールだから」「ウチは法律通りやっているから」という理屈で、一律のルールで済ませるのではなく、現場の実態に即した柔軟な運用設計が、会社の魅力や信頼を左右し、採用力にも大きく影響する時代です。
ぜひ、あなたの会社らしい、様々な制度を考えてみてください。
→ 有給休暇の運用に悩んだら、まずはこちらからご相談ください